(S5·26-S071)Pd-Ag-Cu三元系合金の相平衡と水素透過特性

摘要

効率の良い水素精製法として膜分離法があり，水素透過合金としてPd系合金が用いられている(1)．一般に，性能向上のためにAgを添加したPd-Ag合金や，耐硫黄性向上のためにCuを添加したPd-Cu合金が実用化されている (2)．そのためPd-Ag-Cu三元系合金では上記特性を両立できる可能性がある．また，Pd-Ag-Cu合金は低温で相分離が生じるため，熱処理により単相状態，多相状態を作製できることが分かっている．二相合金では，各相の形状，サイズや体積分率、相境界面の量など，水素透過に影響を与える因子が多く存在するので，水素透過性と組織の関係を解明することは学術的にも興味深い．本研究では，Pd-Ag-Cu三元系状態図を作成するとともに，単相状態，多相状態での水素透過度を測定し，組織と水素透過度の関係を明らかにすることを目的とする．