立面構成比とその変移からみた街路建築群の景観構造

摘要

街路景観の特徴のひとつは、静止時のディスプレイ （断片的景観）としてのそれと、歩行時のシークエン ス（連続的景観）としてのそれとが重層的に体験され ることにある。ー方で都市街路の景観体験は、静止時 にせよ歩行時にせよ街路に平行な視軸を以て施され、 従って視軸に平行な街路沿道の建築群（以下、街路建 築群）の壁面（以下、正面）と視軸と直交する壁面 （以下、側面）とが重なり合って形成されている。か くして相異なる街路の景観の個性は、静止時と歩行時 各々における街路建築群の正面と側面の構成に深く関 与していることが予想される。以上を背景に本研究の 目的は、世界の主要街路を対象に、視認可能な正面と 側面の構成比及び隣り合う視点間の構成比の変移量を 算出し、それら両観点から相異なる街路間に共通する 形式を判別したのち、街路建築群による景観構造の型 を抽出すること、とする。