航空用ガスタービンエンジン部品補修における溶射技術適用の現状

摘要

エアラインはコスト低減のために整備等の固定費を徹底して切り落としたLow Cost Carrier (LCC)と自営で整備を行い、旅客にフルサービスを提供するMega Carrierとの二極化が進hでいる。ジェットエンジン整備を自営する航空会社は近年多くはないが、日本航空を含め、多くのMega Carrierが自社整備を選択する理由は、年々複雑化するエンジン内部部品の構造、製造/修理法を知ることで、不具合発生時の原因究明を迅速に行うとともに、エンジニアの人材育成にあると言っても過言ではない。通例、民間機用のガスタービンは機種にもよるが、数年に一度、取り卸して分解オーバーホール整備することが必要であるが、使用環境が過酷であるが故に、そのままの状態で再使用出来る部品は多くはなく、何等かの補修が必要となり、その中で溶射技術が果たす役割りは極めて大きく、当社でも複数の溶射設備を保有して対応している。本稿では各種溶射コーティングを施工したエンジン部品例、実運航での損傷例と問題点などを紹介しながら、補修技術の現状と課題について述べる。