環境影響を考慮した加工技術の選択 ～MT システムを用いた選択手法の検討

摘要

近年，地球温暖化の原因のひとつであるCO_2 排出量の削減が社会的な課題である．国内の業種別CO_2 排出量をみると，製造業が8 割以上を占めており，環境への配慮が特に強く求められる．そのため，今後の製造技術において，環境影響も装置の性能として求められる可能性がある．そこで，設計開発段階で環境負荷を考慮できれば，従来の以上に，効果的に環境負荷を削減した製造も可能になると期待される．本研究では，品質工学の多変量解析手法であるMT システム(Mahalanobis-Taguchi)を用い，低環境負荷加工技術の検討を行う．まず， RT 法を用いて作成したい部品の条件に適する加工法の検討を行った後，T 法を用いて機械部品製造時のCO_2 排出量の推定を行う．その後，解析に用いた項目ごとにCO_2 排出量への影響度を求め，CO_2 排出量の少ない条件を検討する．今回は，これまでに作成したシステムをもとに，特定の部品の作成に対し加工適合性が高くCO_2 排出量の少ない技術 を検討するためのシステムを構築する．本報では，積層造形技術に対象を絞り検討を行う．この技術は，省資源·省エネルギーが求められる今後の加工技術において，廃棄物が少なく加工時間も短いことから，経済産業省の次世代技術ロードマップにも記載され，注目されている．