アルミ合金切削における仕上げ面粗さの決定因子

摘要

旋削加工による仕上げ面は比較的規則正しく刃先形状が転写される．この規則正しい旋削痕は製品に意匠性を付与するために積極利用される場合も多い．しかし，仕上げ面のプロファイル曲線を詳細に観察すれば，不規則な形状成分も見られ，これが著しい場合は，表面粗さが大きくなくとも意匠性は失われることとなる．一般的に表面プロファイル曲線の不規則成分の生成は構成刃先と逃げ面のバニシ作用が考えられるが，仕上げ面方向へ成長する鼻型の構成刃先が生成される場合を除けば，基本的に構成刃先は刃先形状を変化させない．したがって，規則正しい旋削痕に不規則粗さが重畳する形で表面プロファイルが生成されている場合は，逃げ面との接触により不規則粗さが生成されていると考えられる．また，工具材料は被削材より十分硬いから，逃げ面の表面粗さによるアブレッシブ作用は規則正しい粗い面を生成し不規則粗さの原因とはなり難い．したがって逃げ面と仕上げ面の凝着，特に被削材の移着·成長·脱落が不規則粗さの原因と考える．そこで，本研究では，逃げ面における移着·成長·脱落という凝着摩耗プロセスが不規則粗さ創製の一因であるかを検証する．