多孔質エポキシ樹脂研磨パッドの温度特性の改善

摘要

精密研磨に用いられる酸化セリウムの使用量低減を目的として，筆者らは従来のウレタン樹脂に代わる材料としてエポキシ樹脂を採用した研磨パッドの開発を行っている．エポキシ樹脂研磨パッドは従来のウレタン樹脂研磨パッドに比べ，高い研磨能率と優れた仕上げ面粗さが得られる．またエポキシ樹脂研磨パッドと酸化ジルコニウム砥粒を併用することにより酸化セリウムの完全な代替を実現している．しかし，エポキシ樹脂研磨パッドは使用温度により硬度等の機械的物性値が変化する問題がある．図1に示すように，これまでに製造したエポキシ樹脂研磨パッドはガラス転移温度Tg が30°Cと室温付近である．そのため，使用環境によってエポキシ樹脂研磨パッドの硬度などの物性が大きく変化し，研磨特性に悪影響を及ぼす．そこで，本研究では使用温度に対して物性値の変化が少ないエポキシ樹脂研磨パッドの開発を目的とし，パッドの原料である樹脂と硬化剤の組み合わせを変更したパッドを製造し，その研磨特性を評価した．