導電性ビトリファイドボンド砥石の開発と応用第１報：PCD 材料の放電複合研削への適用

摘要

ビトリファイドボンド超砥粒砥石は強度，耐熱性に優れることから，焼入鋼をはじめ，セラミックス製品やダイヤモンド工具などの研削に用いられている．一般的に，超硬質材を研削する場合は，加工精度の確保や切れ味の持続のため，研削を停止して頻繁にダイヤモンドドレッサ等でツルーイング／ドレッシングする必要がある．一方，著者らはメタルボンド超砥粒砥石の機上放電ツルーイング／ドレッシング法を開発し，複雑な総形砥石の成形を可能としてきた．また，メタルボンドダイヤモンド砥石による硬脆材の研削において電解援用研削法や放電援用研削法を提案してきたが，導電性であるメタルボンド砥石の使用が前提であった．上記問題点を解決するため，著者らは新しい概念に基づく「導電性ビトリファイドボンド超砥粒砥石」を提案した．導電性ビトリファイドボンド砥石は，従来のビトリファイドボンド砥石としての特徴（強度，耐熱性，ツルーイング／ドレッシング性，研削性能）に加え，各種の電気援用研削法への適用を目的としている．導電性ビトリファイドボンド砥石は，従来のビトリファイドボンド剤に導電性フィラー（粉末，もしくは短繊維）を混入する方法や導電性ガラス剤で焼成する方法によって製造する．砥石全体が導電性を持つようになるので，放電ツルーイング／ドレッシングが可能となるとともに，導電性超砥粒を混入した場合は被加工物との電気的接触感知が可能となる利点を持つ．本研究では，導電性ビトリファイドボンドダイヤモンド砥石を試作し，ダイヤモンド焼結体(PCD)の放電複合研削法に適用した．