広領域梨地表面の加工とその表面評価

摘要

近年,自動車,家電品等の工業製品の表面には,表面テクスチャと呼ばれる微細な凹凸形状が付加されているものが多く存在する.表面テクスチャは主にサンドブラストやエッチングによって作成されている.しかしながら,その作成には,熟練した技術を必要とし,再現性に乏しいという問題がある.そのため,より高効率に高精度な表面テクスチャを作成するために表面テクスチャをデジタル化することが必要とされている.デジタル化する表面テクスチャが広領域の場合,加工に用いる工具経路のデータ量が膨大になる.そして,加工に用いる広領域加工データを一般的なPC(パーソナルコンピュータ)で作成する場合,工具経路(CL データ)を求めるための処理に長時間を要し,現実的ではない.そこで本研究においては,一般的なPC により広領域加工データを作成する手法を提案した.この手法においては,広領域画像中から抜き出した狭領域画像中の微小領域に対応する加工データ間を接合することにより広領域加工データを作成できるが,接合部分に不連続が発生してしまう.不連続部分に平均化を施せば不連続が緩和される.前報告においては,平均化のみを行っていたが,グレースケールの不連続が発生する場合があった.そこで本報告では,イメージキルティングを施すことによりこの不連続を緩和するための手法を提案した.