顕微インデンテーション法の開発と観察結果

摘要

応力－ひずみ曲線に代表される材料の力学的応答情報の一つとして、変形中の表面などの動的観察、すなわち「その場観察試験」（In-situ試験）がある。試験後の表面観察（（Ex-situ試験）によって変形に伴う内部変化の表出として出現するすべり線や凹凸からこれまでも重要な知見が得られてきたが、荷重を加えながら観察するIn-situ試験は現象の前後関係や可逆性など、時間依存の情報も得られることから、現象の理解に有用である。硬さ試験は局所的な負荷によって生じた変形から物質·材料の強度を明らかにする手法であり、高い簡便性·再現性から広も用いられている。この手法の簡便性を生かしつつ高度な応力応答情報の取得を目指して、硬さ試験のIn-situ試験化（顕微インデンテーション）を試みた。押し込み試験に透明圧子を通して圧痕内部並びに周辺の試料表面を観察するには光学的条件の最適化が必要であるが、簡易な手法によってこれを実現し、負荷-除荷において変形に可逆性がある超弾性合金への適用を行った。