Ag-Sn 合金被覆材および SUS／（Ag-Sn）二重被覆材を用いたPIT-（Ba,K）Fe_2As_2 線材の作製

摘要

鉄系超伝導体は高い臨界温度（T_c）と極めて高い上部臨界磁界（H_(c2)）を有するため、液体ヘリウムのみならず液体水素、冷凍機冷却など中温度での強磁場発生用線材としての応用が期待されている。そのためPowder-in-tube （PIT）法による線材化研究が行われてきているが、最近 Ba、Sr-122を対象にして磁界中、4.2K で 10~5A／cm~2 近くの実用レベルの臨界電流密度（J_c）が報告されるようになった。122 系の線材を PIT 法で作製する場合、反応しない被覆材は今のところ銀しかないが、純銀は機械的強度が弱いという問題がある。これを解決する手段として我々は機械的特性の優れたAg-Sn合金被覆材あるいはAg-Sn合金とSUSとを組み合わせた二重被覆材によるPIT Ba-122線材の開発を行っている。ここでは合金化による組織の改善と、J_c 特性の向上について報告する。