洪水破堤による三大都市圏の浸水解析

摘要

近年，地球温暖化による異常気象や大型台風の影響に より豪雨災害，洪水災害が増加している.平成27年には, 台風18号の大雨により鬼怒川で洪水が発生し，堤防決壊 により，常総市，結城市，筑西市，下妻巿，つくばみらい市の5つの市に及ぶ大規模浸水が生じた.また，平成 23年には名古屋市の側を流れる庄内川でも大きな洪水が 発生し，名古屋市民の100万人に対して避難勧告が発令 された.このとき，志段味地区における越水被害は生じ ていたが，破堤による大規模な浸水被害は生じていない. 仮に，大規模な浸水が生じれば，高度に発展した地下空 間施設(地下街や地下鉄)を有する都市域では，氾濫水が 地下空間へ流入し甚大な被害を引き起こすことが容易に 想像できる.したがって，地下空間を有する都市域にお いて，大規模浸水を対象に解析を行い，その浸水特性を 把握することは，減災や危機管理の面から非常に重要と 考える.