印象派絵画のクラスター解析における手法比較

摘要

芸術絵画における色彩表現のデータマイニング手法として、筆者らは国際照明委員会 (CIE) が1976年に採択した色空間モデルであるCIE-Luvのモデルによる色彩統計量に基づいて、絵画のデジタルデータに関する数理的な解析手法を試みている。たとえばCIE-Luv空間での3原色分布に基づく絵画の統計的分析法、色差分情報による特徴分析法2)、そしてクラスター分析による色彩解析法 等である。このうち最後の手法では、個々の絵画作品に対する非階層型のクラスター分析を行ったあと、同一画家の代表作品全体についてその分析結果に対する階層型のクラスター分析を行うという二段階手法により、画家の時代や作品別に色彩傾向の数理的な解析を行った。今回の報告では、第1段階である個々作品の色彩解析において、クラスター分析に代えて主成分分析により色空間特徴量を調べる方法で、従来手法との興味深い比較結果を得たので、その具体的な手法の手順と解析例について報告する。