農用タイヤの振動特性がラグ起振力と軸力の伝達特性に及ぼす影響

摘要

本研究は舗装路面走行時の農耕車両の振動発生メカニズムを解明することを目的としており，その為には路面からの入力であるラグによる起振力の特性を把握することが重要となる．従来の研究で，転動時のタイヤの挙動はタイヤの振動特性の影響を受け，固有振動モードのうち剛体モードのみが転動時の挙動に影響を及ぼすことが確認されたことから（藤田?齊藤?金子），ラグ付きタイヤをSWIFT（Short Wavelength Intermediate FrequencyTyre）model として知られる3 次元剛体円環モデルでモデル化し，タイヤ剛性等のパラメータについては，3 次元剛体円環モデルでモデル化した系の固有振動数と固有モードを解析的に導出する方法を示し，加振実験で得られたタイヤの固有振動数及び固有振動モードからDownhill Simplex 法を用いて同定した（藤田?齊藤?金子）．更に転動実験により転動時の車軸の変位と車軸に作用する軸力を3 次元的に計測し，この3 次元剛体円環モデルを用いて転動実験の計測結果からラグ起振力を結果から前後力?上下力?横力について同定した（藤田?齊藤?金子）．ラグ起振力の特性と軸力の特性を調査した結果，これらの特性には相関があり，タイヤの振動特性がラグ起振力や軸力の特性に大きく影響を及ぼしていることが確認できていたが，ラグ起振力を入力とし軸力を出力とした伝達特性については検討できていなかった．本報告では，ラグ起振力と軸力の伝達特性として振幅の倍率と位相差を調べ，タイヤの振動特性が伝達特性に及ぼす影響について検討を行ったのでその結果を報告する．