皮質-視床フィードバック係数の脳波からの推定方法と覚醒-睡眠遷移解析への応用

摘要

入眠過程(覚醒-睡眠遷移)の研究は、就寝時に良い眠りを誘導する上でも、また日中に起こる好ましくない居眠りを防止する上でも重要である.脳波解析はその中で中心的な役割を果たしており、睡眠ステージの変遷に伴う脳波の特徴的な変化が知られている.たとえば、覚醒から睡眠への遷移時には、いわゆるα波(パワースぺクトルでは10Hz付近に現れるピーク)が消失し、代わりにθ波帯域のパワーが増大してくる.こうした知見に基づき、機械学習のアルゴリズムなどを用いて睡眠の変化(段階の識別)を行う研究が数多くされている.このようなアプローチにおいては、α波の消失やθ帯域の増大など実測事実そのものが重視され、そのメカニズムや原因は副次的に扱われるのが通常である.