送電用鉄塔の腐食等に対する健全性評価技術に関する研究（その３）:鋼管の点検技術

摘要

高度経済成長の時代から低成長時代へ移行した現在，電力需要の増加に伴う電力設備増強の機会が減少し，高度経済成長時代に建設された架空送電設備は，徐々に高経年化している．このような状況において，架空送電設備の一部である鋼管鉄塔では腐食による劣化現象が顕在化しており，鋼管鉄塔では内面に不めっきによる局所的な腐食も確認されている．ガイド波により広範囲をスクリーニングし，概略点検することにより局所的な腐食による減肉の見逃しを減らすことができると考えられる．そこで，著者らは，磁歪センサ（Magnetostrictive Sensor, MsS）によるT モードのガイド波を利用し，鋼管内面の腐食による減肉を検知するための鋼管減肉点検システムを構築し，撤去部材を用いた適用性評価試験を実施している．本稿では，構築したガイド波鋼管減肉点検システムを実機鉄塔に適用し，減肉検出性，点検作業性を調査した結果について述べる．