衝突振動を伴う音響デバイスの分岐挙動に関する基礎的研究

摘要

AWD（Audible Warning Device）は衝突振動を利用して音響を発生させる装置である．AWDでは，取り付け部の剛性，質量などの使用状況により挙動が不安定になる場合がある．これまでの研究で，AWDの衝突振動において，特定のパラメータの変化により衝突振動応答に周期倍加分岐が生じ，周波数領域にいわゆるサイドバンドが発生することを支配方程式の直接数値積分に基づく数値シミュレーションにより示している．しかしながら，直接数値積分を用いた非線形系の分岐現象の分析では，限られたパラメータの組において，試行した初期推定値近傍で得られる限られた安定解しか求めることができない．このため，複数の安定解が同一パラメータに対し存在する場合や，実機と解析モデルとの間でモデル化誤差が大きい場合には，直接数値積分による分析は実際の現象を十分に説明できない場合がある．そこで，本研究ではAWDの衝突振動挙動を模擬する簡易モデルを用いて，分岐挙動を明確化することを目的とした．