表面形状制御生体用β型チタン合金への医療用ポリマーの密着性評価

摘要

チタンおよびチタン合金は、優れた耐食性、比強度を有するため、歯科用インプラントや骨組織代替器具として用いられている。特にTi－6Al－4V合金は、広く臨床応用されているが、近年、同合金中に含まれるバナジウムの有毒性が指摘されるようになった。そこで、無毒性。非アレルギー性元素のみから構成される低弾性率β型チタン合金であるTi－29Nb－13Tb－4．6Zr（TNTZ）が開発され、生体用金属材料としての応用が期待されている。TNTZの生体適合性は、良好であるが、実用化のためには生体親和性の付与が必要である。例えばTNTZを歯科用インプラントとして使用する場合、インプラントが軟組織と接触する部分には軟組織適合性が求められる。そのための有効な手法として、TNTZ表面を軟組織適合性高分子で修飾する方法がある。しかし、mTZと高分子材料との複合化においては、その密着強度が問題となる。密着性を向上させるためには、反応界面積の増加やアンカリング効果を利用することが有効である。そこで、本研究では、陽極酸化法によりTNTZの表面形状を制御し、高分子との密着性を改善することを目的とした。