エネルギ生産性のための生産システムシミュレーション（第2 報,エネルギ原単位による生産計画）

摘要

産業界において，2010 年4 月に施行された改正省エネルギ法により，生産活動における消費エネルギの評価と削減がますます重要となっている．また，2011 年3 月に発生した東日本大震災，および原子力発電所事故による電力使用制限により，消費電力を考慮した工場管理は早急の課題となっている．これらの課題を解決するために，産業界では，生産システムの設計·構築·改善段階に，生産性と消費エネルギを同時に事前評価することが望まれている．これまで，生産システムシミュレーションを利用した生産性の事前評価手法は提案され，利用されている．一方，生産システム全体を対象とした場合の消費エネルギの事前評価手法は整備されておらず，事前評価が困難であった．そこで，本研究では，第1 報で，生産性と消費エネルギによって算出される製造エネルギ原単位を用いて，生産システム設計時に，生産性と消費エネルギを同時に事前評価する手法を提案した．本報では，まず，製造エネルギ原単位による事前評価手法について述べる．次に，製造エネルギ原単位による事前評価手法を生産計画に適用し，生産性と消費エネルギを考慮する生産計画の事前評価について提案する．最後に，半導体製造工場を対象とするケーススタディを実施し，製造エネルギ原単位による事前評価手法の生産計画への適用について，有効性を確認する．