歯車歯面の接触圧力分布計測用薄膜圧力センサの開発(リード膜共有型多点圧力センサによる圧力分布計測)

摘要

歯車歯面間のかみ合い時に生じる接触応力は，歯車の負荷容量を決める重要な因子であり，歯面の損傷や歯元曲げ応力の評価等を行う上でも重要である．接触応力は，ヘルツ接触理論を適用して得る方法が一般的であるが，作動条件による接触状態の変化や，組み付け誤差，歯面の表面形状，歯車ユニットの剛性によって歯車かみ合い時の接触形態が理論的な接触形態と異なり，歯すじ方向の応力分布は均一とならず，局所的な強い接触応力が損傷の原因となる．このため，歯車歯面の接触圧力分布の計測法の開発は，損傷の原因究明や接触応力の計算法の検証として重要であるが，センサの取り付けによる歯面本来の形状の変化や剛性変化を招くため，それらの影響の少ない計測手法が必要となる．この場合，薄膜センサ法は有力な計測法となるが，歯面が小さい歯車では，センサを形成するスペースが狭くその製作が難しい．そこで，筆者らは，狭い歯面部においても歯すじ方向の5 点の圧力分布計測が実現できるリード膜共有型の薄膜圧力センサを開発した．本研究では，このセンサを用いて得られた平歯面のかみ合い時の接触圧力分布とヘルツの弾性接触理論を用いた圧力分布との比較を行った.