プラスチック製人工椎体におけるFEM解析と力学試験の関連性

摘要

椎体固定術に用いられる椎体間スペーサーは骨と比較すると非常に高い弾性率を有するチタン合金で構成されている．そのため骨の自然治癒メカニズムに適した力学環境を実現できないことが危惧される．著者らは，Ti 合金よりも低弾性率であり生体適合性を有するプラスチックを用いることにより問題解決が出来るか検討している．新しいインプラントの開発においては，デザインしたインプラントの正確な力学的特性の把握が必須であると考えられる．生体内の力学的特性を評価する手段として力学試験やFEM解析が用いられる．力学試験においては製品の重要な性能評価が可能であるが，結果のばらつきが生じ，インプラント内部の応力状態などを把握することは困難である．一方FEM解析は力学試験のような煩雑な準備が不要であるが，境界条件などが不適切であると正確な解析が得られない．この両者の相互関係を調査することで効率的かつ理想的なインプラント開発が進むと考えられる．本報では椎体間スペーサー開発の過程において，CAD モデルを基盤データとするFEM解析と力学試験を行い，変位を主体として，相互関係を調査した．そして，相互評価システムを構築し，その有効性および改善点について調査した．