赤外CRDS 分光法を用いた自動車排出ガス中の窒素化合物計測

摘要

近年の車両からの排出ガスでは，新たな後処理装置によりNO_x 全体の排出は抑制されているが，この後処理装置の副次的な効果としてNO_x 中のより毒性の高いNO_2 比率が高くなること、およびその他の毒性の高い物質が生成されることが懸念されている．そこで以前, われわれはパルス発振式の量子カスケードレーザーを用いたCavity Ring Down Spectroscopy (pulsed-CRDS)法によるNO_2 計測装置を開発した．このCRDS は高反射率のミラーを光路上かつ測定対象の前後に向かい合わせに配置することにより，50 cm 程度のセルで数km におよぶ光路長を達成可能である．本研究では，線幅がパルスレーザーと比べ格段に狭く他の物質の干渉影響を最小限に抑えられる連続光(CW)レーザーを光源としたCRDS 法を用いて，新短期規制適合トラックから排出されるNO_2 および触媒で生成されている恐れがあるが，線幅の広いpulsed-CRDS 法では測定が困難なニトロメタンの測定を行う．