有機金属結晶核剤、及びセルロースナノファイバーによるポリ乳酸樹脂の改質

摘要

ポリ乳酸(PLA)は従来の汎用プラ、エンジニアプラスチックと比較すると耐熱性や力学強度、成型性などの面で課題が指摘されており、これらの物性を向上させる手段として、結晶核剤の添加による加工時の結晶化促進や、フィラーの添加による力学物性の改善が検討されてきた。筆者らはこれまでにフェニルホスホン酸亜鉛(PPA-Zn)がPLAの結晶核剤として高い効果を有することを報告してきたが、最近の研究で、特定のアミノ酸金属塩も結晶核剤として高い効果を有することを発見した。また、PLA と同じくバイオマス材料であるセルロースをナノファイバー状に微細化し、これをポリ乳酸にナノ分散させることでPLAの耐衝撃性を向上させることを試みた。今回の発表ではこれらの検討内容について報告する。