微粒等方性黒鉛の破壊靱性に及ぼす切欠き先端形状の影響

摘要

高温ガス炉の炉内構造物には耐熱性に優れた黒鉛材料が用いられている．高温ガス炉は冷却材にヘリウムガスを用いており，冷却材の原子炉出口温度が約950°C に達する原子力システムである．高温ガス炉の炉内に用いられる黒鉛構造物は，原子炉の運転に伴い熱応力等が生じる．そのため，黒鉛構造物については，設計上有害な欠陥は排除するように対策がなされるがその健全性確保のためには，き裂進展による破壊，損傷を防止するための評価用基礎データとして，破壊靱性の評価が必要である．金属材料における破壊靱性評価方法はすでに確立されており，試験片に疲労予き裂を導入している．しかし，疲労予き裂を黒鉛材料へ導入することは困難であり，ASTMにおいては黒鉛材料の破壊靱性評価方法の規格化が検討されている．本研究では，ASTMで検討中である試験片の切欠き先端形状に着目し，黒鉛材料の破壊靱性値に及ぼす切欠き先端形状の影響を調査した結果を報告する．