ラミー麻/PP の力学的特性に及ぼす2 軸繰返し引張負荷効果

摘要

現在，地球規模で様々な環境問題が発生しており，複合材料の分野においても未解決の環境問題が累積している．従来使用されてきたガラス繊維強化プラスチックは，優れた機械的特性を示すものの，廃棄の際に処分が困難なため大部分が埋め立てによって廃棄されているが，非分解性のため環境に負荷がかかる．このような背景から，プラスチック系複合材料の構成素材をバイオマスに置き換える研究·技術開発に関心が寄せられている．中でも，高強度天然繊維を用いたグリーンコンポジットに関わる研究·技術はその最前線にある．当研究室では，高強度天然繊維であるラミー麻と熱可塑性樹脂であるポリプロピレン(以下，PP と略記する)を複合化させたラミー麻/PP複合材料(以下，Ramie/PPと略記する)を作製し，繰返し引張負荷処理を施してきた．現在，Ramie/PPに単軸方向への繰返し引張負荷処理を施すことで，機械的特性が向上することが明らかになっている．この処理は引張方向のみ強化される異方性を示すため，このままでは，工業用品や構造部材に使用し難い．よって異方性を低減させ，繰返し引張負荷処理効果を等方的に発現させることが求められる．そこで，本研究ではRamie/PP に等二軸同時繰返し引張負荷処理を施し，機械的特性を向上させることを目的とした．