超音波共鳴法による遮熱コーティングの高温異方性弾性係数の焼結特性評価

摘要

遮熱コーティング（TBC）はその低熱伝導性によって基材の温度を低下させることを目的として，ガスタービンエンジン用の翼や燃焼器に適用されており，その有用性は周知の事実である．しかしその耐久性や信頼性に関しては課題が残っているのも現状である．熱応力や残留応力などの強度評価パラメータの算出には，コーティングの弾性係数が不可欠である．例えばプラズマ溶射ジルコニアTBC は，溶融させたジルコニア粒子が基材面で急冷凝固し，気孔やき裂を含hだラメラ組織となる．このように組織構造の異方性が強いため，弾性異方性も強いと考えられる．しかし，膜厚方向の弾性係数は評価が困難であり，その報告(1)は少なく不明な点が多い．本研究では，共鳴超音波スペクトロスコピー（RUS）により，遮熱コーティングの高温弾性異方性や焼結特性を明らかにすることにした．