金属平型ガスケット付き管フランジ締結体の密封特性

摘要

金属ガスケット付き管フランジ締結体は化学プラントや原子力プラント等の各種機械構造物に内圧作用下で使用されており，しばしば結合部分からの漏えい事故が生じることが問題とされている．ソフトガスケットやセミメタルガスケットのような軟質ガスケットを有する管フランジ締結体に関して，フランジ強度やボルト初期締付け力の研究は数多くなされている．また，設計法やボルト締付け手順がASMEやJISに定義されている．一方，金属ガスケット付き管フランジ締結体に関して，沢らは金属平型ガスケット付き管フランジ締結体の力学的特性を軸対称弾性論接触問題として応力解析を行っている．しかし，金属ガスケットの密封特性に着目した研究はほとhど行われておらず，金属ガスケット特有の金属間接触における密封機構も明らかにされていない．金属ガスケット付き管フランジ締結体の結合部分からの漏えい事故を防ぐためにも，金属間接触における密封機構を検討することは重要であると考えられる．本研究は，金属間接触の密封機構を検討する為に，金属平型ガスケットを用いて金属間接触の密封特性を明らかにすることを目的としている．まず，金属間接触の基本的な密封特性を明らかにするために，JIS B2490 に従い密封特性試験を行う．また，金属ガスケットには様々な種類の金属が用いられる．そこで，金属の材質が金属間接触の密封特性に及ぼす影響を検討する為に，現場でよく用いられるアルミニウム，銅及びクロムモリブデン鋼を用いてJIS B2490に従い密封特性試験を行う．さらに，ガスケットを締結体に挟hだ場合，フランジローテーション等の影響でガスケット接触応力が分布することが知られている．そのため，ガスケット接触応力の分布が金属間接触の密封特性に及ぼす影響を検討する為に，実際の管フランジ締結体を用いて漏えい試験及び有限要素解析を行う．最後に，得られた結果を用いて金属平型ガスケット付き管フランジ締結体の密封特性と適切なボルト初期締付け力の決定法を検討する．