微粉炭燃焼ボイラにおける伝熱管の高温腐食·磨耗損傷挙動および機構（1）

摘要

石炭火力発電プラントは，原子力に次ぐベースロードを担う重要なプラントである．火力発電プラントの多くのボイラでは，低NO_x対策として，低NO_xバーナ，二段燃焼方式，低酸素燃焼運転を採用しているが，燃焼室のバーナゾーン近傍では，酸素不足の状態が出現したり，さらに，火炎の揺らぎや偏流により，局所的に燃焼温度や酸素濃度が著しく不均一となり，H_2，H_2Sを多く含む高温硫化腐食環境となる可能性がある．また，石炭燃焼ホつラ特有の設備として燃焼室に設けられたデスラッが（燃焼灰の除去装置）から間欠的（42秒／日）に噴射される水蒸気による腐食環境の変化とともにエロージョンが生じる場合がある．前報では，微粉炭燃焼ボイラ燃焼室伝熱管の高温腐食と摩耗損傷が複合的に作用して損傷が加速する事例を報告したが，本報では，その損傷部分を詳細に調査し，主として高温腐食による損傷メカニズムを検討した結果を報告する．