胸腔鏡下手術における肺癌触診デバイスの基礎的検討

摘要

近年，初期の肺癌の手術において低侵襲な胸腔鏡下手術が頻繁に用いられてきている．胸腔鏡下手術とは患者の体表に直径12mmほどの穴を3つあけそこに術具や内視鏡を通し，その内視鏡下で手術を行うものである．これは従来の開胸手術に比べて患者の負担が少ないという利点が挙げられる．一方，胸腔鏡下手術においては内視鏡下で肺を見るため，胸を切開する場合に比べて視野が狭く癌がどこにあるかわかりにくいという問題がある．また，開胸下手術では医師が肺を直接触って癌を探すのに対し胸腔鏡下手術では医師が肺を直接触ることができない．ここで，肺の表面をなぞるだけで癌の位置がわかるような触診デバイスが開発されてきた．それらの触診デバイスは触診形状から大きく2種類に分類することができる．1つは点で測定するものであり，もう1つは面で測定するものである．点で測定する方がより腫瘍を見つける精度が高いと予測できる．なぜならば臓器表面はデバイスに対して平面であることもほとhど無く，また表面に対して垂直に押し当てることも困難であるため，面の場合，かた当たりを起こしてしまい，がhと誤認識してしまう可能性がある．しかし，点での測定は面での測定に比べて時間がかかり，外科手術には向いていないという問題点がある．現状ではどのようなセンサ形状，触診方式を組み合わせれば正確かつ効率的に癌を探せるのかというのは十分に検討されていない．そこで，本研究では，点と面での触診方法において，適した探索方法を検討する．そのために，点と面で圧縮した場合の反力を計測可能な計測装置の開発，及び複数の条件下での反力計測評価実験を行った．