適応的な生産実施のための動的生産プランニングのフレームワーク(第2報)―選択性の組み合わせが構成する解空間の表現手法の検討

摘要

生産現場で起こる機械故障や，計画外の発注といった動的変化は，現行の生産スケジュールを不可能や不適切にすることがある．これらの変化に対応するために，生産プランニングの諸計画の一部を変更する必要がある．本研究では，動的変化に適応するために取りうる複数の可能性を生産プランニングの選択性と呼び，前報にて選択性の選択肢を変更した際に，他の選択性に影響を与える波及関係について論じた．生産プランニングは，一般に多くの選択性による組み合わせの爆発が起こりやすい．そのため既存の生産プランニングの研究では，遺伝的アルゴリズムを代表とするメタヒューリスティクスを用いて，膨大な解空間をサンプリングして，準最適解を得ることが多く行われている．本研究では，動的変化に適応し生産実施を行うための動的な生産プランニングのフレームワークを分析·定式化し，再計画問題で変更する選択性の抽出及び解法の選定を支援する手法の確立を目指している．それら選択性の抽出には，解空間全体を表現できる手法が必要不可欠である．本報では，生産プランニングにおける組み合わせが構成する解空間を表現するために，湊によるゼロサプレス型BDD(以下，ZDD, Zero-suppressed Binary Decision Diagram)を適用し，解空間の縮約表現について検討する．