サファイアのメカニカルポリシングにおけるスラリーフローの定量評価―スラリーフローに及ぼす定盤表面性状の影響

摘要

発光ダイオード（LED）など，低炭素社会を実現し得る重要なキーデバイス用基板材料にサファイアがあり，このサファイア表面の高平坦化には研磨加工が不可欠である．しかしながら，サファイアはその材料特性から極めて低い研磨レートが問題となっている．ここで，研磨加工において工作物と定盤相互の接触界面におけるスラリーフロー（研磨液流れ場）は研磨特性に大きな影響を及ぼす，このため，さらなる研磨レートの向上には，スラリーフローの定量評価に基づく研磨メカニズムの解明と，それに基づくスラリーフローの最適化が必須である．このような中にあって，著者らによる一連の研究において，画像処理技術の一つであるデジタル画像相関法を用いることでスラリーフローを可視化し，定量評価する手法の有用性を報告してきた．本報告では，水溶性ダイヤモンドスラリーと銅定盤を用いたサファイアのメカニカルポリシングに着目する．特に銅定盤の表面性状とスラリー濡れ性変化の観点から，これらの研磨条件がスラリーフローに及ぼす影響を検討した結果を述べる．