日常生活空間での環境計測を目指した可搬型超広視野フーリエ分光イメージング装置

摘要

我々は日常生活空間での環境計測を目指して, 可搬型超広視野フーリエ分光イメージング装置の開発を行っている．日常生活空間で分光計測を行うには, 空間的インコヒーレント光での計測, 大気の揺らぎの影響, 構造的な照明が行えないという課題がある．さらに, 日常生活空間に適用することを考慮すると, 機械振動に対する高いロバスト性と装置の小型化が必須である．従来の分光イメージング装置であるハイパースペクトルカメラは, 分散型やAOTF 型の場合, 計測波長帯域中のごく一部を抽出して分光計測を行うため光の利用効率が低くなってしまう．そのため, 中赤外光領域には高い量子効率を持つ受光デバイスがないので適用が不可能である．そこで, 提案手法である結像型2 次元フーリエ分光法[1]を用いる．本手法はフーリエ分光法なので光の利用効率が高く中赤外光への適用が可能である．また, 准共通光路型のシンプルな光学系で構築しているので, 小型化が可能な上, 機械振動に対しても高いロバスト性を有する．さらに, 物体光間位相シフト干渉計であるため, 空間的インコヒーレント光での分光イメージングが可能である．本手法の特徴は, 図１左上の赤枠内に示すレンズを変更することで視野範囲を自由に選択可能なことである．例えば双曲面ミラーを使用することで, 最大視野角50[deg.]の超広視野分光イメージングが可能である．本手法では物体光間に時間的な位相差を加えるため位相シフト操作中に計測対象が動くとインターフェログラムが劣化してしまう．そこで, 動体計測においては位相シフト操作を空間的に行うワンショットフーリエ分光法を用いる．こちらは, 1 フレームで分光計測が可能であるため計測対象の動きの影響を受けない．しかし, 計測領域が1 次元に限られてしまうので機械的に視野をスキャンして超広視野分光イメージングを行う．これらの技術により, 日常生活空間に適用可能な可搬型超広視野分光イメージング装置が実現可能である．