目直し条件がメカノケミカル砥石による単結晶シリコンの超仕上げ性能に及ぼす影響（第2報）: 砥石作業面の観察に基づく寿命評価

摘要

半導体ウェハなどの高機能材料に対しては遊離砥粒研磨方式が一般的であるが，作業環境·地球環境の観点から見直しが迫られている．その解決策として，固定砥粒研磨方式が期待されている．これまでに筆者らは，メカノケミカル反応を利用した固定砥粒研磨加工の研究として，シリコンと化学的作用をもつ，軟質な硫酸バリウム（BaSO_4）を含むメカノケミカル複合超砥粒砥石（以下，SD/BaSO_4砥石）を開発し，単結晶シリコンの平面超仕上げにおいてダイヤモンド砥石（以下，SD砥石）よりも，仕上げ性能が優れ，目直し間寿命が長いことを明らかにした．さらに，前報では，砥石表面状態を変化させる目直しに注目し，ベイズ推定を用いることで適切な目直し量と目直し後の砥石作業面積率を統計的に明らかにした．本報では，運動軌跡を変化させた目直しを行い，砥石作業面を変化させ，目直し間寿命を調査した．さらに，作業面の砥粒形態の変化をSEMおよびレーザ顕微鏡を用いて詳細に観察し，砥石寿命に至る経緯を考察した．