非線形有限要素法解析による微細針の穿刺シミュレーション: 蚊の口針の穿刺メカニズムの有用性の検討

摘要

近年，注射の際の患者への負担を軽減可能な低侵襲性のマイクロニードルが求められている．注射針の穿刺の際には皮膚に大きなたわみが生じ，大きな苦痛を伴う．一方，人間は蚊に刺されてもほとhど痛みを感じないため，筆者らは痛みを感じさせずに吸血を行う蚊の口針に着目し，その機構と穿刺行動を観察した．その結果，蚊は針の座屈と皮膚のたわみを防止するため，口針を下唇で支持しながら穿刺していることが明らかになった．また，表皮を突き破る際には口針をねじりながら穿刺しており，その後は複数の口針（上唇と一対の小顎）を交互に振動させながら穿刺していることが明らかになった．