プラネットギヤの歯面精度が差動遊星歯車機構の騒音に与える影響に関する研究

摘要

各種機械において動力のハイブリッド化および電動化が進み，差動機能を有する遊星歯車機構の重要性が増大する一方で，歯車のかみあい騒音がさらに問題となりつつある.歯車におけるかみあい騒音を抑制するうえで歯面精度は非常に重要であるが，遊星歯車機構の研究において，歯面精度とかみい騒音の関係性を取り扱った研究がない.そこで，先行研究では，自転と公転を同時におこなう遊星運動による慣性力（遠心力やコリオリ力）の影響を無視するためにキャリアを固定した駆動状態におけるプラネットギヤの歯面精度のかみあい騒音への影響について考察をおこなった.遊星運動による慣性力の影響が生じない条件において，遊星歯車機構のかみあい騒音はかみあい最大歯面誤差の標準偏差に対して比例関係にあることがわかり，かみあい最大歯面誤差のばらつきを抑制することでかみあい騒音を抑制できることが明らかとなった.しかし，キャリアを固定していることから，必ずしも差動遊星歯車機構に対する知見の一般的性が十分でなかった.そこで,本報では先行研究と同じかみあい周波数のままキャリアの回転数を変更し，慣性力の影響も考慮に入れた差動駆動中に対して音響計測をおこなった.結果，先行研究同様にかみあい最大歯面誤差のばらつきの抑制がかみあい騒音の抑制に効果があることが明らかとなった.