一台のカメラによるスペックル干渉計測における多重記録法を用いた面内·面外同時変形計測

摘要

粗面を持つ物体の面内変形計測を行う場合に，スペックル干渉技術を用いた二光束干渉計が用いられている．さらに，二光束干渉計に縞走査技術を導入することによる高分解能化が進められている．一方，動的かつ大変形現象などの解析において，連続する二枚のスペックルパターンのみを用いて変形解析を行うことのできる高分解能な新たな解析技術がまた開発されている．このような状況で，二光束干渉計の構造に上記の新たな解析技術を導入した二台のTVカメラを用いた高分解能な面内変形計測法が提案されている．この新たな面内変形法では，従来の二光束干渉計のように面内変形のみの計測だけではなく，面内·面外変形を同時計測することが可能であり，その用途の拡大が期待されている．しかし，この新たな面内·面外変形計測法では，二枚のスペックルパターンのみを用いて変形解析を行うことのできる手法を直接利用することによってのみ構成された光学系を用いている．そのために，測定対象は斜め前方より観察された画像を取り扱うこととなり，測定結果の縦横比が異なる結果のみしか得ることができない問題がある．さらに，二台のカメラの光軸合わせ，倍率調整等光学系の設定に煩雑な処理が必要となる問題が発生している．このような問題の解決に向けて，本研究では，一台のカメラに，スペックルパターンを多重記録することによって，測定対象を正面からとらえることのできる新たな面内·面外変形同時計測法を提案している．本研究では，この新たな変形計測法の開発にあたっての問題点を検討している．