液面基準3 軸姿勢角センサに関する研究

摘要

精密リニアステージは主要な位置決め機構の1 つであり，加工·製造装置や検査·測定機器等に幅広く用いられている．特にFlat panel display (FPD)製造分野では，大きさ1000 mm×1000 mm 以上，厚さ0.7 mm のガラス薄板上への回路形成や組み立てのために，ガラス薄板を数μm の精度で繰返し位置決めする必要がある．このような大型位置決め機構では，移動体の姿勢誤差に起因するアッベ誤差は主要な誤差原因となる．従来の研究では，姿勢角は移動体に取り付けた参照鏡の角度変化を2 台のレーザオートコリメータにより計測されてきた．しかしながら，長ストロークステージではストロークと同長の参照鏡が必要であり，外部光軸を基準とした姿勢角測定では1000 mm 以上のストロークを有するステージの測定は難しい．一方で，水準器や傾斜センサはセンサ内部の水平液面を基準として用いることにより，外部光軸に依存しない姿勢角度計測ができるという特徴を有している．しなしながら，液面基準の傾斜角センサの分解能は程度であるため，精密位置決めステージの姿勢角測定に必要なサブ角度秒の測定は困難であった．本研究では内部に液面基準を有する姿勢角計測に着目し，レーザオートコリメータによる微小角度測定と組み合わせることで，液面基準の高感度3 軸姿勢角センサを提案する．本報では3 軸姿勢角センサの構成と開発したセンサの基本特性評価について報告する．