ボールねじ駆動によるサブナノメートル位置決めの研究

摘要

ボールねじは回転運動を直動変位に変換する最も一般的な位置決め要素の一つであり，ボールねじ駆動による位置決め性能の向上が求められている．ボールねじには入力トルクとナット変位の間に非線形なばね特性があり，この特性を有効に利用するとナノメートルレベルのPTP位置決め性能を期待できる．一方，変位センサの分解能が飛躍的に向上しており，レーザホログラムを利用したリニアエンコーダでは，10pm（ピコメートル）レベルの分解能を持つものが出現するまでになっている．既報では，分解能70pmのリニアエンコーダとボールねじおよび転がり直動案内を用いた位置決めシステムを構成し，サブナノメートルレベルにおける挙動と位置決め性能を実験により検討した．本報では案内要素を空気静圧案内とした新たな位置決め機構を構成し，微動特性を実験的に評価する．また機構の非線型ばね特性に対応した制御方法を提案し，その有効性を実験により検証する．