電界撹拌技術を用いた抗原抗体反応の迅速メカニズムの解明（第5報）電界集中電極による撹拌の高効率化

摘要

近年，がh治療は進行度や悪性度に応じた最適な個別化治療を行う傾向にあり，その際に用いられる術中病理診断は現状 HE（ヘマトキシリン·エオジン）染色が中心である．この方法においては，染色した組織中の細胞の核内構造や細胞形態を病理医が観察して診断している．しかし HE 染色における診断には限界があり，2mm 以下とされる微小な転移を見逃す可能性が指摘されている．このリンパ節微小転移を見逃さずに診断するには免疫組織染色が有効であることが知られている．この染色方法により，微小転移の検出確度が高まることで，術中診断の精度向上が期待される．また，手術中に確定診断が下せるため，従来，再度手術が必要であった症例が一度の手術で済むこととなり，患者の予後の QOL の向上や医療費の削減が可能となる．しかし，従来の免疫組織染色法では，染色に 2 時間以上を要してしまうため，術中病理診断には適用できないという問題があった．そこで，我々は，電界撹拌法を開発し，20 分以内に免疫組織染色を可能とする技術として適用し、手術中に迅速免疫染色を可能にした．