摩擦摩耗解析のためのin-situ SEM トライボシステムの開発

摘要

機械機器において，故障や寿命の原因の約75%は，接触面の摩耗に起因し，自動車においては，エネルギーロスの30%ほどが摩擦に起因するといわれている．それ故，摩擦と摩耗の制御は，低炭素社会基盤構築にも直結する重要な技術と認識され，そのための摩擦と摩耗の発生機構の解明は重要課題と認識されている．これに対し従来は，外部から直視することのできない接触部での現象であるが故に，摩擦後の摩耗面の観察や分析に基づき摩耗機構を推察し，時に摩擦機構を推察することが中心になされているのが現状である．そこで本研究では，走査電子顕微鏡 （SEM） 内に導入可能な接触面内の真実接触点ならびに見かけの接触を模擬した摩擦試験機を開発し，接触面内で起こり得る現象のその場観察·分析の可能性と摩擦摩耗機構解明に対する有効性を実証する．