籾殻由来の炭素粉体を添加した射出成形プラスチック歯車（はすば歯車対とねじ歯車における炭素粉体の効果）

摘要

射出成形プラスチック歯車は，その有用性が認められて用途が拡大しており，動力伝達および回転伝達性能の向上，静粛性，長寿命化などの要求が増加している． しかし，プラスチックは粘弾性体であり，機械的性質に温度依存性を有するため，使用環境や運転条件によって，これらに起因した問題が発生することが多い．ところで，近年では持続可能な社会の実現や環境保護の観点から，バイオマスの活用が注目されている． 著者らは農業廃棄物の有効利用とプラスチック歯車の長寿命化·低騒音化の観点から，ポリアセタール（以下，POM）に籾殻由来の炭素粉体(以下，RHSC 粉体)を添加した複合材料の射出成形平歯車を作製し，その性能に及ぼすRHSC 粉体の影響について検討した．その結果，歯車本体温度および騒音の低下，長寿命化の傾向を見出した．本研究では，同様にPOM にRHSC 粉体を添加した複合材料の射出成形はすば歯車対とねじ歯車を用いて，運転試験を行い，疲労寿命および騒音に及ぼすRHSC 粉体の影響について検討する．