血中循環腫瘍細胞捕捉デバイスの開発－寸法差異と特異吸着の利用

摘要

がhの病巣部から血液中にわずかにがh細胞が漏れ出すことが知られている．こうした細胞は, 循環腫瘍細胞(circulating tumor cell: CTC)と呼ばれ, がh転移の要因の一つとして考えられており, がhの診断·検出手段として, 最近注目されている．例えば, 現在, 抗がh剤の効果判定は, 一定期間の薬剤投与後に, 主にCT (computed tomography) などによる画像診断により行われる．したがって, 判定できるほどの効果が表れるまでにかなりの時間がかかってしまう．CTC を高感度に検出できれば, 判定をより高速に行うことができると期待される． CTC を生きたまま捕捉できれば, オーダーメード医療に有用になるであろう．また, さまざまな基礎研究の試料となる．しかし, CTC は血球細胞10~9 個に一個程度とも言われており, 非常に数が少なく, 捕えることは困難である．Veridex 社のCellSearch システムが米国FDA の承認を受けた唯一の検出系であるが, 検査費用が高額であること, すべてのがhに対応はしていないことからあまり普及していない．そこで, 我々は, 廉価で容易にCTC を検出することを目指し, マイクロ流体デバイスの開発を進めている．