セグメント構造ダイヤモンド炭素膜を摩擦駆動面に用いた弾性表面波リニアモータ―第4報 S-DLC を備えたステータ振動子面による駆動特性

摘要

近年，半導体製造技術や産業用ロボットなどの発展に伴い，高性能·高機能なアクチュエータの開発が求められている．超音波モータは取り出せる推力が大きい，保持力·保持トルクが大きい，磁場を発生しないなどの特長を有している．弾性表面波リニアモータは超音波モータの一種であり，超音波振動のひとつである弾性表面波(surface acoustic wave: SAW) を利用したアクチュエータである．SAW リニアモータは超音波モータの特徴に加え，薄型で支持が容易であるといった利点を持つ．しかし，摩擦駆動という駆動原理のため，接触している摩擦駆動面の摩耗の問題が生じていた．本研究では，SAW リニアモータの摩擦駆動面にセグメント構造を有したダイヤモンド状炭素(segment-structured diamond-like carbon: S-DLC)膜3)を導入することにより，耐摩耗性を向上させることを提案している．前報までに，S-DLC スライダと従来のシリコンスライダにおける駆動特性の取得を行った．本報では新たにS-DLC 膜をステータ振動子に形成し，特性を取得した．