水素エネルギーの大規模貯蔵輸送技術--SPERA水素~Rシステムの開発と今後の展望

摘要

2014年のエネルギー基本計画において、水素は将来の重要な二次エネルギーとして位置付けられ、水素·燃料電池ロードマップの策定と2020年のオリンピック。パラリンピックを我が国の水素関連技術を世界に発信するショーケースとすることが盛り込まれた1）。また、2015年12月にパリで開催されたCOP21（気候変動枠組条約第21回締約国会議）は、196カ国の世界中のすべての国がCO2の削減に取り組むことが合意され歴史的な会議となった2）。COP21で我が国は、気候変動対策と経済成長を両立させる鍵は革新的技術の開発とし、CO2フリー社会に向けた水素の製造·貯蔵·輸送技術などの開発に注力すると表明し、2016年に「エネルギー·環境イノベーション戦略」3）が策定され、2017年には2030年、2050年に向けた水素基本戦略が策定されている4）。千代田化工では、水素の大規模貯蔵輸送技術として“SPERA水素”システムを開発した。水素の大規模貯蔵輸送技術は、上記の水素基本戦略の基幹技術の一つとして期待されている。ここでは、“SPERA水素”システムの開発と水素エネルギー利用の技術動向、および将来の展望を述べる。