MoP·ZnDTP併用条件における摩擦特性に関する研究

摘要

近年, 省エネルギーの要求により,機械，およびそのシステムにおける摩擦ロスを削減することが求められている。その一つの対策として，潤滑油の低粘度化が挙げられ1），自動車用エンジンオイルでは低粘度グレードの潤滑油開発が活発に行われている。一方で，潤滑油の低粘度化が進むと，接触面に形成される油膜が薄くなり，2面間の直接接触が生じやすくなる。従って，これによる摩擦係数の上昇，さらには摩耗や焼付きといった表面損傷が引き起こされることとなり，低摩擦の実現に対して大きな問題となる。現在，そのような境界潤滑領域での摩擦低減のために，潤滑油添加剤が利用されている，本研究では，境界潤滑域での低摩擦をもたらす新規的添加剤として，りh酸モリブデン（MoP）に着目し，すべり摩擦実験を行う．これまでの報告によりMoPとジチオりh酸亜鉛（ZnDFP）を併用させることにより，低摩擦と耐摩擦性を併せ持つ特性を示すことが分かっている2）．ここでは，その特性に関する継続研究として，摩擦特性に対する各添加剤の濃度の影響について調べる，実験結果より，低摩擦を示す反応膜の形成メカニズムについて検討を行う．