産業分野への高温ヒートポンプの導入事例システム検討から運用まで

摘要

民生用·業務用分野におけるヒートポンプは，主として空調冷暖房用と給湯用を中心に，一般家庭からオフィスビルや業務用店舗などに至るまで様々な分野で普及拡大しており，現在我が国のヒートポンプ技術は世界の中でもトップクラスの技術に成長し，今後も更なる飛躍が期待されている．特に近年では，ヒートポンプがIEA「ETP2008（エネルギー技術展望2008）」·「ETP2010（エネルギー技術展望2010）」，「CoolEarth－エネルギー革新技術計画」，総合科学技術会議「環境エネルギー技術革新計画」などで，環境とエネルギー問題への貢献策の大きな柱として取り上げられる機会も増えてきており，その期待の大きさを伺い知ることができる．産業分野においては，20世紀後半の2度のオイルショック以降の原油高騰を契機として，エネルギーセキュリティの観点から各業種で高効率かつ高経済性を有するヒートポンプの実利用が行われてきた．そして近年は，環境とエネルギー問題に対応するべく，より高性能，より高温のヒートポンプが求められる背景もあり，各種実用機が開発され，乾燥，加熱，除湿,蒸留工程等のプロセスに適用されている．本稿では，当社が開発したCO_2冷媒を用いて80～120°Cの熱風を取り出すヒートポンプを，産業分野に適用した実例を挙げ，システム検討段階から実際の運用に至るまでの要点と，運用実績について紹介する．