5083アルミニウム合金板材の引張変形における変形帯形成直前の変形状況

摘要

5000系アルミニウム合金では，引張変形を施すと試料表面にひずみ模様を生じることがある（図1）．このひずみ模様は引張軸方向にある一定の角度を保った帯状の凹凸（変形帯）から構成されている．また，ひずみ模様が形成される際の公称応力一時間（ひずみ）曲線では変形帯形成に伴う応力降下が断続的に発生することも知られている．ひずみ模様が形成されると製品価値を損ねるために，工業的にはその抑制が課題となる．このような現象に対して，これまで我々の研究グループでは変形帯の形成位置や方向などの形成状況に着目して研究を進めてきた（1）（2）．その中で，本研究では変形帯形成の直前にみられる滑らかで連続的な局所変形（前駆変形）の進展が，変形帯の形成位置や形成方向に影響を及ぼすことを明らかにした．このことから変形帯と前駆変形は密接に関係すると考えられた．