圧縮性正方形ダクト内乱流における断熱壁配置の影響

摘要

近年、航空技術の発達とともに密度変化を考慮する必要がある圧縮性流れの現象解明の必要性が高まってきている。特に圧縮性流れ場の多くはその高速性から乱流場の評価が本質的となるが、その理解は十分とは言い難いものである。圧縮性乱流場の直接数値計算（DNS）による検討対象は当初は自由乱流が中心であったが、近年壁乱流に対する研究も進められるようになってきた。当該研究室では正方形ダクト内の圧縮性乱流に対するDNSをこれまで実行してきた。正方形ダクト内の非圧縮性乱流では実験やDNSなどでよく知られているように流路断面内に8つの循環流が発生する。梅原·岡本は等温壁で構成された正方形流路のケースを、温度差を加えたものを含めて実行してきたが、二次流れのみに着目すると対称性が崩れるなどの変化はあるものの強度や分布等を含めて大きな変化は見られなかった。しかし、岡本·森村は一つの壁面に断熱条件を課すケースのDNSを実行し、二次流れの循環流に大きな変化が生じることを見い出した。そこで、本研究では断熱壁の設定個数と配置を変化させた正方形ダクト内圧縮性乱流のDNSを実行した結果について報告していく。