棚を用いた果樹栽培用パワーアシスト装具の開発

摘要

農業従業者の高齢化が進む中で、ぶどう栽培のように長時間にわたって上向きの姿勢で腕を上げての作業は重労働である．そのため，農作業の負荷を軽減するためにいくつかの作業補助機が開発されている．これらの機器は，各関節ごとにアクチュエータを配置するため，機器自体が重くなりコストも高くなるという問題点がある．しかし，ぶどう栽培における摘粒作業は手に持ったハサミで行われるため，腕はぶどうの房まで手を持ち上げる動きが主であり，作業範囲もぶどうの房の近傍である．本稿では，腕を上げての作業負荷を低減するため，ぶどうの摘粒作業を対象とした低価格なパワーアシスト装具を提案する．制御するアクチュエータの数を少なくすることで軽量化と低価格化を図るため，リンク機構を用いることで一つのアクチュエータで上肢作業を補助する．パワーアシスト装具は使用者の作業性を考慮して腕と装具を固定するのではなく，装具に腕を乗せて作業を行う方式とする。