FW CFRP/Al複合圧力容器の破裂圧力に及ぼす高温曝露の影響

摘要

近年，水だけを排出するクリーンな発電方法として，燃料電池が注目されており，各自動車メーカーは燃料電池車（FCV)の開発を進めている.FCVには水素を貯蔵するための複合圧力容器が搭載されており，事故や火災によりこの容器が高温に曝されるとCFRP層が熱劣化を起こし破裂する危険がある.そのため，熱劣化した複合圧力容器の安全な取扱い方法が求められている.田村らは高温環境中の容器の耐圧性能を調ベるため，使用最高圧力時の複合圧力容器を電気炉で加熱し，破裂圧力を測定した.炉内温度が523Kと573Kでは，最小破裂圧力の約0.4倍で破裂した.473Kでは223分間の加熱でも破裂せず，常温での破裂試験で健全容器と破裂圧力はほぼ同等の結果であった.実際の火災では，高温に曝された容器が破裂に至る前に，消火活動などで常温まで容器が冷却されることが考えられる.この場合，消防士や救助士は容器が破裂する危険な状態か否かを，迅速かつ容易に把握することが求められる.本研究では，複合圧力容器を高温に曝し，その後，冷却した時の室温における破裂圧力を予測する方法を開発する.