連続炭素繊維強化熱可塑性ポリイミド複合材料における樹脂含浸挙動

摘要

熱可塑性ポリイミド（PI）は耐熱性，機械的特性，電気的特性などに優れた材料であることから航空産業，電子情報器の実装材料など高い信頼性が要求される幅広い分野で使用されるようになった．これを母材とした熱可塑性炭素繊維強化プラスチックス（CFRTP）は，熱硬化性のものに比べ優れた耐衝撃性，成形速度，リサイクル性が期待されている．しかし，熱可塑性樹脂は溶融粘度が高いため強化繊維に対する樹脂含浸性が低く，機械的特性を十分に発揮することができない．このため，熱可塑性樹脂を十分に含浸させるための様々な成形方法が開発されており，強化織物材とフィルム状高分子シートを交互に積層し加熱圧縮成形するFilm Stacking（FS）法や熱可塑性樹脂を粉末化し強化繊維に付着させるPowder法などがある．また組紐技術を応用したMicro-Braiding 法（MB法）により作製された繊維状中間材料は樹脂繊維が強化繊維の周りに組まれ，均等に密着しているため含浸性の向上が期待できる．本研究では，熱可塑性ポリイミド樹脂の繊維束への含浸過程を調査するため，強化繊維に炭素繊維，母材樹脂に熱可塑性PIを用いたCFRTPを様々な成形法により作製した．これらの成形条件と繊維束への樹脂含浸性との関係および樹脂含浸性が力学的特性を及ぼす影響を明らかにすることを目的とし，実験的および解析的側面より検討を行う．